ミラノ工科大学 大学院正規留学 準備について
「留学に興味があるけど、何からすればいいの?」(準備・スケジュール)
今回は、ミラノ工科大学に興味を持ったけど、どうすればいいのかという方に向けておおまかな準備とスケジュールを説明します。
まずは開講しているコースを調べる
ミラノ工科大学のHPより「INFO FOR」>「INTERNATIONAL PROSPECTIVE STUDENT」にアクセス。(下記リンク)こちらのページで開講コース、授業料や申請方法などを確認できます。
Politecnico di Milano: International prospective students
今回は大学院進学の解説のため、真ん中の「LAUREA MAGISTRALE (大学院の意味)」より開講プログラムカタログにアクセスします。すると、建築、エンジニア、デザインより44コースのリストが表示されます。全て英語で開講されているコースと、イタリア語での授業も含まれるコースがあります。
コースを選ぶと、コースの概要やそれぞれのコースのwebサイトを見ることができます。
自分自身が学びたい内容かどうか確認しましょう。
受験スケジュール
受験の流れは以下です。(※コースによって異なりますが、一般的な流れです)
- オンライン受験登録
- 卒業または成績証明書(在籍中の場合)のアップロード
- 応募コース選択
- 各種書類の提出 (履歴書、志望動機、推薦状、最終学歴の授業詳細、学部成績証明書、ポートフォリオなど)
- 資料の郵送提出
- 英語資格成績提出 (IELT6.0、TOEIC720程度。コースによって異なる)
- 後日、コースによってはビデオ面接
- 合否連絡
- 前金の支払い(ミラノ工科大は受験料なし。前金は授業料で精算される)
スケジュール
ミラノ工科大学は2学期制のため、9月入学と2月入学があります。9月入学が一般的です。
9月入学
第1次出願: 前年9月から11月
第2次出願: 1月から3月
2月入学
第1次出願: 5月から7月
(例) 2020年の9月に入学する場合、2019年の9月から2020年3月までに申請・受験審査を行う必要がありました。下の表は第1次出願のタイムスケジュールです。
ポイント
- 合格者は順次決まっていくため、早く申請した方が有利。
- 11月に応募の締め切りがあるが、英語資格の提出期限は2月までと猶予がある。
学部4回生の方は最終学年の6月までには留学準備を始めると良いでしょう。ラストチャンスは11月ごろではないかと思います。11月に準備を始め、1月の二次出願に間に合うでしょう。
以上、ミラノ工科大学大学院への留学準備についての説明でした。
次の受験機会は5月です(来年の2月入学)、来年度の情報も9月には発表されるので確認しましょう。
提出資料に関しては、こちらで詳しくまとめています。
次は、留学・生活費用について↓
ミラノ工科大学 大学院正規留学 留学・生活費用について
「でも留学に行くお金があるかな?」(留学費用・生活費・奨学金)
留学はお金がかかる。ミラノ工科大学に限らずイタリアは、アメリカ・イギリスと比べるとはるかに留学費用を抑えることができます。意外と安いかもと思えるように、実際に留学した私の留学・生活費用を説明します。イタリアの大学院は2年制です。
※ 1ユーロ 120円換算
留学費
1. 年間授業料 / 約46万円
ミラノ工科大学の年間授業料は約46万円(3898ユーロ)です。入学金・受験料はありません。また後で説明する学内奨学金によっては、この授業料がほぼ無償になります。
2. 海外保険 / 約2万~10万円
ビザ申請には保険に加入することが必須です。日本の留学保険、もしくはイタリア現地の保険に加入するかによって費用に大きな差があります。
国内保険
ジェイアイ「たびほ」という保険では、以下の内容で約10万(9ヶ月)かかります。
補償内容
傷害死亡:なし
傷害後遺障害:なし
疾病死亡:なし
治療・救援費用:3000万円
賠償責任長期(自己負担額なし):1億円
生活用動産長期用(自己負担額なし):50万円
手荷物遅延費用(実損払型):10万円
航空機遅延費用(実損払型):2万円
弁護士費用:なし
テロ等対応費用:1万円
緊急一時帰国:なし
応急治療・救援費用:なし
歯科治療費用**:10万円
※2020年現在、イタリア総領事館「ビザ申請チェックリスト」には医療費の項目が無制限の海外傷害保険の契約書と指定されています。
死亡補償をつけないでも2年間で約20万円かかります。第一に、保険はちゃんとしたものに入るべきです。この「たびほ」は国内の留学保険の中ではコスパが良いです。
イタリア現地保険
これでも、さらに保険にかかる費用を抑えたい場合は、イタリアに「W.A.I」と呼ばれるビザ申請に使える保険があります。こちらはミラノ工科大学も勧めている民間保険です。
費用は年間120ユーロ (約1万5千円)とかなり安いです。補償内容は国内での治療無制限、EU圏内360万円以内。家族の緊急渡航費等最低限の健康保険です。賠償責任が保障されていないことが格安の理由です。(詳しくはサイトで確認してください)
Wai Italy Welcome Combos - Extra U.E. Residence Permit applicant
Politecnico di Milano: Health Service
加害保険はイタリア郵便局などの現地保険に入り、カバーすることもできます。こちらも年間100ユーロ ほどです。
https://www.posteitaliane.it/en/insurance-services.html
3. 航空券代 / 約7万円~
航空会社、シーズン、乗り換え回数によって大きく変わりますが、早くから購入することで割安に買うことができます。skyscannerやexpediaなどで航空券を日頃からチェックしておきましょう。
ポイント
- イタリア直行便もある。
- ドイツ経由が多い。乗り換え時間が短いと、荷物が間に合わない可能性大。
- ANAでも安いチケットが買える場合も。また帰路の日時変更可能なチケットは便利。
4.滞在許可書申請費用 年間約5千円
現地で滞在許可書(ペルメッソ・ソジョルノ)を発行するためにかかる費用です。ビザ申請自体は就学ビザの場合無料だそうです。(最新の情報を確認してください)
以上、留学自体にかかる費用です。日本の留学保険に加入したとしても年間約65万円です。成績証明書の発行やビザ申請の交通費など細かな費用は省略していますが、航空券や保険など全て含めても、日本の国公立大学より安いのではないでしょうか。奨学金があればさらに費用を抑えることができます。
生活費
次はミラノ市内での生活費についてです。
1. 家賃 / 月約3万8千円〜
家賃は、学生寮、相部屋、シェアハウス、一人暮らしによって値段が変わります。
ミラノ工科大学はいくつかの学生寮を用意しています。募集開始と同時にすぐに埋まってしまうので、チケット購入のように運が必要です。時間に合わせて、ブラウザを更新していち早く手続きをしましょう。事前に寮のタイプを調べ、希望順位を決めておきましょう。
2人でのルームシェア(トイレ、シャワー付き)・キッチンはフロアでの共有で、月3万円後半から住むことができます。ルームメイトがいい人であれば問題なくはないですが、相部屋はストレスもかかります。キッチンだけシェアする個人部屋も月4,5万程度でしょう。
その他
学生寮でなく、民間のシェアハウスでも同じような相場です。
ミラノ市内でのワンルームマンションは、物件にもよりますが東京より高いです。その理由は広いからです。日本のような狭いワンルームマンションが少ないです。そのため多くの日本人学生は、1LDKなどの物件を2人で借りたりしていました。ひとり5万円〜であれば、駅から近い良い物件が見つかるでしょう。毎年交換留学生は必ずいますので、「mix b」などの掲示板サイトで呼びかけてみましょう。 以前にまとめていた家探しの方法も参考にしてください。
私の場合は、イタリア人とシェアハウスをしました。個人部屋があり、地下鉄駅前で 月に4万円でした。礼金はありませんでしたが、入居時にデポジットを支払いました。また半年に一度ほど管理費(年3千円ほど)を支払いました。オーナーやアパートに様々だと思います。まずは、ミラノ工科大学の学生寮、次に日本人コミュニティでの物件探し、それでも見つからない場合は民間サービスで探すのが良いでしょう。
家具、ベッドや家電は基本的に備え付けです。引っ越し費用がかかりません。
・食費 月約2万〜3万
外食を控えると、日本(東京)と比べ、はるかに食費を抑えることができます。実際の物価は「Amazon it」で食品などを検索してみてください。現地スーパーではさらに安くなりますが、おおよその値段がわかります。自炊であれば、月2万円あれば十分でした。
ポイント
- 外食をすると高くなる(日本の牛丼屋や定食屋のように安い外食がない)
- ビッグマック単品が約500円。
- ピザはデリバリーや軽食店で約500円〜。レストランでは約1000円〜。
- 鮮魚のみ日本と比べ割高。
- 学校近くは屋台トラックやテイクアウトのパスタ屋など充実。4ユーロ から
- 中国系日本食レストランで約20ユーロで食べ放題があります。
- チャイナタウンで日本食購入可能。安い寿司用米10kgが17ユーロ。コシヒカリ系は5kgで22ユーロ など。Riso e cereali
・光熱費 月約1万円
学生寮の場合光熱費は含まれていますが、賃貸の場合は物件によって異なります。物件探しの際は確認しましょう。基本的に料金は日本と変わりませんが、料金体系について上限があるのかなど事前に確認しましょう。 現地イタリア人は水道水を飲みません。
・携帯通信費 月約960円
携帯料金は格安です。前に紹介したiliadという通信会社の場合、月50GB、通話sms無制限で8€です。さらに安いプランもあります。EUでも使用でき、申し込みも簡単ですので参考にしてみてください。
・交通費 年約2万4千円~
ミラノではエリア内(市内)の地下鉄、バス、トラム、列車に乗り放題の年間チケットがあります。一般で年330ユーロ、27歳以下は200ユーロ です。詳細は下記リンクより確認してください。
New Integrated Fare System of the Mobility Basin - STIBM
主要駅の「ATMポイント」と呼ばれる窓口で申請、即日で受け取れます。一度作成すると、切符自販機でチャージすることができます。非常に便利でお得のため、必ず作りましょう。
ミラノの地下鉄については、こちらの記事にまとめています。
・その他(交際費、雑費)
ポイント
- 学校では製作費など一部支給されることもありますが、基本は自費です。A1ポスターの印刷などで意外と費用がかかりました。
- 教科書を購入させられることはありませんでした。
- 美術館や映画館など学割が効きます。
家賃を月5万とすると年間60万円、食費など年間約40万で合計約100万円です。これら生活費は日本で一人暮らししていてもかかる費用です。シェアハウスなどで家賃を抑えることができれば他は日本より格安に生活することができます。
留学費と生活費合わせて年間165万円です。
就学ビザは週20時間のアルバイトも認められています。uber eat などのオンデマンドのアルバイトなら良いかもしれませんが、大学院とアルバイトを両立することは非常に困難です。
そこで奨学金があれば、さらに留学費用を抑えることができます。以下で説明するDSU (イタリア政府の給付型奨学金)を得られた場合、学費免除・家賃補助・1日5ユーロの食券を得ることができます。その場合、年間約80万円ほどで留学が可能となります。
奨学金
奨学金については、こちらでまとめています。
次は、出願について↓
ミラノ工科大学 大学院正規留学 出願について
「志望動機・推薦状ってどうすればいいの?」
今回は、出願の時に必要になる志望動機書・推薦状など出願資料について説明したいと思います。後半では実際に合格した提出資料の書き方を共有します。
出願までのおおまかな流れは、こちらをご覧ください。
主要な提出資料
- 「ACADEMIC TRANSCRIPT」学業成績証明書
- 「UNIVERSITY QUALIFICASTION」学士証明書
- 「DETAILED STUDY PROGRAMMES」授業詳細表
- 「CV」履歴書
- 「LETTER OF RECOMMENDATION」推薦状
- 「LETTER OF MOTIVATION」志望動機書
- 「LANGUAGE PROFICIENCY」英語資格証明
- 「PORTFOLIO」ポートフォリオ
「ACADEMIC TRANSCRIPT」学業成績証明書
在籍学部 / 最終学歴の成績証明書です。多くの大学では事務室やweb、郵送で発行できます。英語で発行しましょう。GDP3.0以上であれば問題ないでしょう。それ以下だとしても、成績はあまり重要視されていないような気がします。
「UNIVERSITY QUALIFICASTION」学士証明書
学士号証明書です。卒業証書ではありません。こちらも大学事務より発行できます。英語で発行しましょう。
「DETAILED STUDY PROGRAMMES」授業詳細表
成績証明書にある授業の説明をする書類です。こちらは正式な書類ではありません。自分でwordなどでまとめます。大学の学部がシラバスや授業詳細をまとめている場合は、それを自分で英訳しましょう。下記、ミラノ工科大学によるサンプルです。
「CV」履歴書
A4 / 2枚で職歴、学歴、スキルをまとめます。フォーマットは使わずに、自分でレイアウトを作りましょう。以下の項目が必須です。
- 名前
- 生年月日
- 連絡先、住所
- 学歴 (年月、学校名、コース、ひとこと説明)
- 職歴、経歴 (年月、名前、ひとこと説明)
- 受賞歴あれば
- スキル、使えるソフト、語学
- (顔写真)
ポイント
- わかりやすく、読みやすくまとめる。情報を詰めすぎない。
- 学部生で職歴がなくても、アピールできる活動やインターンなどを書きましょう。職歴でなくとも、自身にとって重要な経験で志望先と関係のあることであれば構いません。
- スキルをよくレベルや星の数で表してる履歴書がありますが、やめましょう。客観的な数値や使用年数などで表現しましょう。
「LETTER OF RECOMMENDATION」推薦状
推薦状は教授や上司、同僚に書いてもらいましょう。学部を卒業してから数年の場合は、学部時代の教授に書いてもらいましょう。教授が最も有効です。学校の公式レター(学部のロゴ、ハンコなどがあるもの)が望ましいです。推薦者の連絡先も必要です。
推薦状は書いてくださいとゼロからお願いするものではなく、自分で全てを書き上げます。それを推薦者が手直しするというのが基本的な流れです。
こちらで、具体的な書き方とテンプレートを共有します。良ければ利用してください。
「LETTER OF MOTIVATION」志望動機書
最も重要な提出資料のひとつです。志望動機、目標、資質、コースとの適合性、個人的性質などを書きます。A4 / 2枚ほどです。
こちらも、具体的な書き方とテンプレートを共有しています。良ければ利用してください。
「LANGUAGE PROFICIENCY」英語資格証明
-
TOEFL: CBT -210 / IBT – 78 / PBT- 547 (Our TOEFL code is 9795)
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TOEIC (only listening and reading) - 720
-
IELTS (Academic) - 6
※異なるレベルを求めるコースがあります。確認しましょう。
「PORTFOLIO」ポートフォリオ
デザイン学部や建築学部ではポートフォリオの提出を求めるコースがあります。社会人をやめてデザイン学部や、建築学部に入りたい人にとっては困難に思えるかもしれません。しかし、志望するコースとの関係性を示すことができれば、可能性はあります。
ポイント
- 5W1Hを明確に(何を、なぜ、いつ、どこで、誰と、どのようにして制作したのか)。この順序で短くまとめましょう。
- 「なぜ」は重要です。強調しましょう。
- もし制作物がない場合も、自身で課題を見つけて何か制作しましょう。それは必ずしも物体でなくても良いです。文章、写真、映像、音楽... なんでも良いのでカタチにしましょう。少なくても3つの制作物があると良いです。
- デザイン学部では様々なバックグランドを持つ人が入学しています。まずは志望動機書で「志望するコースがなぜ自分が学びたいことと適しているのか」を示しましょう。そして、その理由を後押しする具体的な考えをポートフォリオを通して可視化しましょう。
次は、「住まい」について↓